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観光まちづくりの担い手として

千曲商工会議所 武井音兵衛さん

日本遺産に認定された千曲市の資源や魅力を維持し発信する役割を担うのは、行政や観光関連事業者だけではありません。今回、取材した千曲商工会議所や商業活動の側面から千曲市を盛り上げる取り組みを行っており、多様な事業者が名前を連ねています。

千曲商工会議所の会頭 武井音兵衛さんは有限会社うづらやの代表取締役です。地域の伝統行事を支え担っていくことへの思い、商業の側面から千曲市を盛り上げていくために大切なこと、そして日本遺産認定への思いなどをお聞きしました。

月の都へのおもいを語る

私は高校まで地元で育ち、大学を経て地元に戻り家業であるホテル うづらやを継ぎました。幼いころから跡を継ぐことは意識していたので、必然の流れでしょうか。うづらやがある武水別神社周辺は、戦前~戦中まで多くの人や物が集まる物流集積地であり観光地でした。しかし戦後は衰退の一途をたどっているのが現状です。
そういった中で今回の日本遺産登録は喜ばしいことです。観光でいうと戸倉上山田、景観でいうと棚田がある地域が有名ですが、今回の日本遺産では武水別神社や大頭祭、仲秋祭など29の構成文化財群のうち5つが武水別神社関係のものです。そういった意味でこの効果が地域全体に広く行き渡ればいいなと思います。

武水別神社の前で長年宿泊業やお土産業を営んできたうづらや、そして武井さんは、誰よりもこの地域のことを愛しよく知っています。そこで改めて、武井さんに武水別神社の歴史、そしてうづらやの歴史をお聞きしました。

武水別神社は、戦国時代から江戸時代にかけてはこの地方随一の八幡宮として諸武将が訪れたという歴史もある古い神社です。天保13年に御社が焼失してしまい、嘉永3年に再建されたのが現在の本殿です。
このあたりでは八幡様とも呼ばれ、地域の皆さんに親しまれています。12月と全国でも遅い時期に行われる大頭祭は、400年以上続く祭りです。400年記念の際に頭人を務め、その際は山車が40台、馬も6頭と豪華に行われました。

武水別神社の詳細はこちら http://takemizuwake.jp

武水別神社

ホテル うづらやは、長野県千曲市の政府登録国際観光旅館です。私で7代目で、江戸の昔から代々襲名して200年この地で営業しています。ここでしか買えない「八幡名物元祖うづらもち」の製造販売もしております。

豊かな歴史をもつ武水別神社とホテル うづらや。千曲市の商工業をまとめる商工会議所の会頭であり、観光事業者でもある武井さんに、千曲市の観光の強み、課題、そしてこれからのことについてお聞きしました。

千曲市の強みは観光資源が多いことです。合併したこともあり魅力的な資源はたくさんありますが、課題は使い方が下手なことだと思います。全国的にみると、Aランクの観光資源が無く、Cランクがたくさんあるという感じでしょうか。あんずなども昔ほどの勢いはなく、なかなか厳しい状況です。
そう考えると、通年を通して長く多くの人に興味関心をもってもらうための仕組みづくりは大切だと思います。また姨捨や棚田など景色は多くの人に伝わりやすいのでもっとおしてもいいのではないでしょうか。

千曲市のもう一つの強みは来た人を受け入れる器=宿泊施設がたくさんあることです。近隣の長野市などは多くの人が訪れますが、宿泊できる場所がありません。せっかく宿泊できる場所があるので、夜も楽しんでもらえるような取り組みを進めていくことは必要だと感じています。
私たちも千曲橋のライトアップや棚田でのライトアップをしてきましたが、もっとこれらの取り組みを大きくしていけたらと考えています。

千曲市の観光まちづくりを行う上で、もうひとつ大切なことは「住んでいる人が住む場所をよいと思える」まちづくりです。そのためには商工会議所でも行っている子どもたちへのアプローチなどが重要です。
みんなが地域を知る、地域をよいところだと思える、胸を張って「私はこの地域が好き!」と伝えることができる。そういう人をコツコツと増やしていくことが長期的にみるとプラスに働くのではないでしょうか。

 

これまで様々な立場で多様な取り組みを行ってきた武井さんだからこそ語ることができる、千曲市の観光まちづくり戦略は、千曲市のみならず他の地域の参考にもなるものだと感じました。新型コロナウイルスの流行により観光業は厳しい状態が続いていますが、日本遺産認定をキッカケに千曲市の商業、観光はさらに飛躍していきそうです。

 

千曲市商工会議所HP https://chikumacci.jp

ホテル うづらやHP https://uzuraya.net