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「月の都はじまりの歌」読み解き本

 さらしなの里の姨捨山の月を、千年以上前に都人のあこがれにした和歌があります。天皇の命で日本で最初に編まれた古今和歌集に載る「わが心慰めかねつさらしなや姨捨山にてる月を見て」です。この歌は千曲市が2020年、「月の都」として日本遺産に認定される大きな根拠にもなっており、その意味で「月の都はじまりの歌」と言っていいものです。

 ただ、だれが詠んだのか分からず研究が深まっていないのが残念でこのたび、姨捨山(冠着山)のふもとに生まれ、さらしなの魅力を30年近く掘り下げて来た立場から、千年以上にわたって日本人を魅了してきた理由と、どのような経緯でこの歌が誕生したのかなどを考察する本を作りました。魅了された現代の著名作家たちのことも紹介しています。シリーズ「更級への旅」で書いてきた歌に関する記事を加筆修正して再編集しています。 

 A5判、80ページ。1部千円。千曲市日本遺産センター(千曲市八幡姨捨4993−1)でも販売しています。表紙の写真は、姨捨山(冠着山)の秋の空の様子です。

 2027年には、この歌の歌碑が姨捨山(冠着山)と「姨捨の棚田」を眺められるビュースポットに建てられる予定です。(さらしな堂・大谷善邦)

信濃毎日新聞2025年12月11日付

「月の都はじまりの歌の謎を解く」目次

はじめに 千年を超えて人々を魅了
1 魅力の秘密を解く
  嘆きの美の濃縮文芸ー名作を生み出した松尾芭蕉、世阿弥
  対極の言葉の響き合いーかなしさと美しさの統合
2 誕生の謎を解く
  背景に朝廷の東国経営ー情報の集積が「わが心歌」に
  作者は都の旅人かー阿倍仲麻呂の歌を踏まえた?
  作者は女性かー万葉集にも「わが心…」歌
  宴席で詠まれたかー歌は都人と在地豪族の交流ツール
3 魅了された現代の作家たち
  「溢れる想い、ひと息の絶唱」ー詩人 大岡信さん 
  映画にもなった「わが母の記」の母体ー小説家 井上靖さん  
  「わが心歌」を「楢山節考」にー小説家 深沢七郎さん   
  生きるかなしみを癒すー小説家 堀辰雄さん 
  「わが心歌」考察の第一人者ー日本思想研究 竹内整一さん 
おわりに たくさんの人を癒し救ってきた
   表紙の写真=大谷恵実

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