音楽を通して

TommyCHOさん

千曲市のまちづくりや観光に関わるのは、市内の人だけではありません。神戸市に拠点を置いて国内外で活躍する鍵盤ハーモニカ奏者のTommyCHO(トミーチョウ)さんは長年、音楽を通して千曲市と交流を重ね2018年に千曲市観光大使に任命されました。

なぜ千曲市に魅かれたのか、これまで千曲市に住む人たちとどのような関係を築いてきたのか。TommyCHOさんに千曲市との出会いから今日までの思い出、千曲市の魅力などをお聞きしました。

月の都へのおもいを語る

私は1995年の阪神淡路大震災のとき、神戸で被災しました。絶望のなか、震災瓦礫に廃棄された一台の鍵盤ハーモニカを見つけ救い上げたことを期に、鍵盤ハーモニカバンドを結成し活動をスタートしました。

その後、アメリカやヨーロッパでの音楽祭に出演し注目を集めたり、NHKで特集が組まれたりと国内外で活躍してきたTommyCHOさん。自身の被災体験から被災地に赴いての震災復興支援活動も継続的に行ってきました。そんなTommyCHOさんが初めて千曲市を訪れたのは、およそ15年前のこと。

ライブ活動のために長野県の白馬村や大町市を訪れたとき、縁あって千曲市でもライブをする機会をいただけることになりました。合併して千曲市が誕生した翌年でしたが、初めて千曲の文字を見たとき“千(せん)曲(きょく)”と読めたので、千の曲の市ってすごいな！と思ったのを覚えています。

もうひとつ印象的だったのは夜景です。山を越える道を通ってきて展望台の看板が見えたので車を停めて見た夜景が、姨捨からの善光寺平の夜景でした。あまりの美しさに時間を忘れ30分ほど眺めていたのを覚えています。

地域の名前、そして夜景に心を奪われたTommyCHOさんはコンサートができる漬物屋 木の花屋さんでライブを開催しました。ライブスタッフや集まった人々のあたたかさに触れる中で、この街はすごいと思ったといいます。

木の花屋さんの社長さんがTommyCHOさんに鍵盤ハーモニカを習いたいと熱望したことを機に、月に1度の鍵盤ハーモニカ教室も千曲市で始めました。「今では、どっちが拠点か分からない笑」と語るほど頻繁に千曲市を訪れる日々。千曲市での体験は、音楽活動にも大きな影響を与えています。

若い頃は“自分はこんな演奏がしたい”という思いが強くありました。しかしライブで直接人に接すると、どうやって演奏すべきかはその場にいる人の心が教えてくれるような気がしています。皆さんの表情を見たりお話を聞いたりして、“自分はどうすればこの人たちの役に立てるのか”そんな風に思うようになりました。特に千曲市は関りが濃い分、どうすれば音楽を通して千曲市の役に立てるかを日々、考えています。

　

千曲市公式キャラクター「あん姫」のイメージソング「あん姫のうた」の作曲や、千曲市観光大使への任命などライブにとどまらない活動を展開するTommyCHOさん。他の地域に住むからこそ見える日本遺産に認定された千曲市の魅力を語ってくださいました。

2018年に市民の方々の推薦で千曲市観光大使に任命いただきました。私は、県外にいるからこそ見える魅力があると常々思っています。千曲市に住んでいると当たり前の風景でも、県外から見ると輝く魅力にみえる。例えば千曲市には戸倉上山田温泉があり、白馬や長野市などへのアクセスもいいので、観光の拠点としてのポテンシャルがとても高く県外から来ると魅力的に映ります。今後も自分にしかできないやり方で、千曲市の魅力を発信していきたいですね。

観光大使に任命された翌年、千曲市は台風19号により一部地域が被災。また2020年には新型コロナウイルス流行で人の移動が制限され観光も停滞。千曲市にとって厳しい2年間でしたが、TommyCHOさんはこの間、何を思いどのような取り組みを行っていたのでしょうか。

阪神淡路大震災の体験から、ボランティア受け入れの体制が整う前に現地入りすると混乱が生じるとわかっていたので、台風19号のときは発生から2週間後にメンバーを募りお世話になった方々の元を訪れボランティア活動をしました。一方で、コロナは災害と違い、みんなが動けないため、動ける人が動けない人を助けるという構図が成り立ちません。ある意味でみんなが被災しているといえるこの状況では、待っていてはダメだと思いオンラインでできることをコツコツと行ってきました。コロナによって千曲市で開催予定だった鍵盤ハーモニカのオーケストラ演奏会も延期となってしまいましたが、2021年には感染状況をみながら実施できたらと思っています。

　

TommyCHOさんの最新情報は下記のWebサイトでぜひご確認ください。
https://www.tommycho.net

またTommyCHOさんが千曲市内を観光案内する記事もあるので、こちらもあわせてご覧ください。
https://chikuma-kanko.com/2020-03-26/post-18021