武水別神社の大頭祭
千曲市八幡、武水別神社では12月10日から14日の5日間、大頭祭で賑わいました。
大頭祭は五穀豊穣を神に感謝する新嘗(にいなめ)祭のことです。5日間なので、頭人(とうにん)と呼ぶ5人が、一番頭から五番頭まで一人ずつ毎日順番で祭事を担います。この頭人達のうち、三番頭を「大頭」と呼ぶことから、「大頭祭」と呼ぶようになりました。
頭人一行の主な日程(武水別神社大頭祭民俗文化財調査報告書参考)

① 14:00 オハッカイで出立式
② 頭人一行、斉の森神社へ。裏道(頭人道ー紺色)を通る
③ 途中、周りの神々に拝礼・御供撒きあり。
④ 15:00 斉の森神社着。神社前で奉納舞・御供撒きの披露。
15:30~ 花火の合図で頭人一行、武水別神社へ出立。
⑥⑦⑨などで神事が行われる。
⑧ 朱傘をさした頭人の行列
⑩ 16:30 神社本殿着、神事。
上記資料を確認しながら頭人一行の行事を追いました。
①14:00~ 出立儀式 (12月10日~14日)
神社内広場のオハッカイ(御初頴=頭人を含む五役のための神社遥拝所)で出立儀式。


②頭人一行は齊の森神社へ。裏道(頭人道)から斉の森神社に向かいます。③途中、周りの神々に拝礼・御供撒きがあります。




④15:00 頭人一行、斉の森神社に到着。神社前の広場は奉納舞や御供撒きで大賑わいです。





15:30 頭人一行、武水別神社へ出立。今度は大門通りを通ります。両側の家々では豆がらを焚いて待機です。この焚火は「暖」と「明かり」と「鳴り物」効果で歓迎の心意気を伝えています。昔ながらの先人の知恵が光ります。



行列は「御馬印」を先頭に→練り物→宝船→(○番頭と書かれた)先幟→御供を載せたトラック(馬)→神楽→踊り連→頭人五役といった順で進み、長い長い行列で神社に神饌(しんせん)を運びます。



⑨大鳥居の手前の青海橋(現在は橋の面影はなくて石碑が立つ)では、旅衣装の頭人一行が拝礼の装束になります。菰(こも)が敷かれ、胡床(こしょう)、木履(ぽっくり)、朱傘が用意され、頭人は草鞋(わらじ)から木履に履き替え、朱傘がさしかけられます。この姿で大鳥居を潜り、太鼓橋(下乗橋)を渡ります。




⑩頭人一行は本殿参拝と各社の巡拝を行ないます。






この間に、本殿でも御供が配られました。一見無造作に見える「おひねり」は、ノリやハサミを使わずに ちょっと華やかさもあって、何とも日本的で 風流な心遣いと言えます。中身は5円玉とお米です。5円玉は「ご縁」にも通じ、且つ、稲穂の絵が刻まれていて新嘗祭にピッタリです。




巡拝後の一行は、中鳥居を出て小さな橋を渡ってお馬出しに進み、木靴から草履に履き替え、祭事を行って終了となります。




この後、御供済み神事も行われました。これは新たにブログを上げます。
大頭祭は約430年も前から続いていて、これら頭人行事は国の無形民俗文化財に指定され、日本遺産「月の都・千曲」の構成文化財の一つにもなっています。頭人一行の行事を追ってみて、地区の人々が一丸となって祭りを盛り上げ、この結束こそが継承に繋がる力なのだろうとの思いを強くしました。( ボランティアガイド楽知会)


