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【開催レポート】月の都の『なぜ?』を解き明かそう!夏休み親子教室を開催しました!

  

社会(歴史・地理)、理科、国語がつながる体験型学習の可能性

 

 令和8年8月1日(土)、千曲市日本遺産センターを舞台に、小学生とその保護者を対象とした特別企画「月の都の『なぜ?』を解き明かそう!夏休み親子教室」を開催しました。

 千曲市がなぜ「月の都」として日本遺産に認定されているのか。その歴史、地形、文化の謎を、参加者が自ら仮説を立て、実験やフィールドワークを通して解き明かす「体験型学習」の一日。

 さらしなルネサンス 大谷善邦氏を講師に迎え、2組4名の参加者が学びを深めた当日の様子をレポートします。

 

本企画の趣旨

 

 「千曲市は月の都です」と教えられるだけでは、単なる暗記で終わってしまいます。
 本企画では、子どもたち自身が「なぜ?」という疑問を持ち、ワークシートに自ら仮説を書き込みながら、実験やフィールドワークを通して解き明かすプロセスを大切にしました。

 自分の目で見て、考えて、「昔の人の知恵」や「郷土の美しい自然」を発見することで、深い理解を促し、地域への愛着と誇り(シビックプライド)を育むことを目指しました。

 

【1つ目のなぜ】昔の人は、なぜここまで月を見に来たのか?

 

 まずは、棚田周辺を上空から撮影したパノラマ写真で地形の特徴を確認。その後、実際に外へ飛び出して長楽寺や姨捨の棚田を散策するフィールドワークを行いました。

 棚田(姪石苑周辺)では、鏡台山や冠着山、善光寺平を見下ろすダイナミックな景観を体感し、昔の人がどう月を眺めたのか解説を聞きました。

 長楽寺では、松尾芭蕉の句が刻まれた「芭蕉翁面影塚」を見学し、古くから人々を惹きつけてきた観月の地であることの歴史的背景を学びました。

■ 「月の都」になった4つの理由
 ① 古今和歌集に『さらしなの月』が登場したこと。【わが心慰めかねつさらしなや姨捨山にてる月を見て】
 ② 月がきれいに見える景色、自然がそろっていたこと。【鏡台山、冠着山、姨捨の棚田、さらしなの里】
 ③ 重要な道「東山道の支道」が通っていたこと。
 ④ 松尾芭蕉の句碑「芭蕉翁面影塚」が建てられたこと。

 

【2つ目のなぜ】田毎の月は本当にみられるのか?

 

 浮世絵や俳句に描かれる、すべての棚田に月が同時に映る光景「田毎の月」。これは、科学的に本当に見られる現象なのでしょうか?

 参加者はまず、「見られる・見られない」の予想(仮説)を立ててから、水を入れたお皿をひな壇状に並べた実験装置を用い、暗闇の中で電球を月に見立てて実験を行いました。

■ 実験で分かった科学的事実
 どの角度から見ても、月(電球)は一つの田んぼ(お皿)にしか映らない。
 【月の光は入射角と同じ角度で反射するため、一地点からは一つの月しか目に入らない。】

■ 科学的事実から「感性」への昇華
 では、なぜ実際には見られない光景を表現したのでしょうか?
 講師の大谷さんから「昔の人は、棚田の坂道を上り下りしながら、どの田にも月が映っているのを見て感動し、一枚の絵や俳句に表現した。科学的には一つの場所から同時にすべての田に月を見ることができないが、どの田にも月が映っていた棚田の光景がとても美しかったので「心の風景」として表現したと言える。」との解説がありました。

 

【3つ目のなぜ】姨捨の棚田はどうやって作られたのか?

 

 急傾斜地にも関わらず、なぜ姨捨の棚田は、あれほど豊かな水田を維持することができているのか。まずは土壌からアプローチしました。

 

■ 水のしみこみ方の違いの実験
 ペットボトルで作った簡易的な装置に「姨捨の棚田の土」、「砂」、「玉砂利」の3種類を入れ、上から水を注いでしみ込み方の違いを観察しました。
 この実験では、棚田の土が、粘土質で水をためやすい性質であると実証することができました。

 

では、その土はどこから来たのでしょうか?また、米づくりに欠かせない水はどこから引いてきたのでしょうか?
 10万年前、40万年前に、三峯山で起きた巨大地すべりによって運ばれた土であること、そして、沼地になっていた場所にため池(大池)を造り、水路が引かれたことで棚田が一面に広がったことが、“先人たちの暮らしの知恵”として大谷さんから語られました。

 

【想いのアウトプット】俳句で表現する

 

 プログラムの最後では、一日を通して感じたこと、心に残ったことを自分の言葉で表現する「俳句づくり」に挑戦しました。

 お互いに披露しあいながら和気あいあいとした雰囲気の中で、思い思いの言葉を乗せたすてきな俳句がいくつも出来上がりました。

 最後は、お気に入りの一句を短冊にして日本遺産センターの竹の葉に飾り、笑顔で一日のプログラムを終了しました。

 

■ 講師を担当いただいた大谷善邦さんの感想
 日本遺産「月の都」をテーマにした今回の夏休み親子教室は、千曲市日本遺産推進協議会の事務局である同市日本遺産推進係の意欲的な企画でした。さらしなルネサンスが制作した月の都ガイド冊子「The MOON CITY」の内容を読み込み、3つの「なぜ?」を設定したところにセンスを感じました。
 学んだことを現場で書き込んでもらうワークシートも推進係が考案したもので、見せてもらったものは、とてもわかりやすくよくできていて、中でも「田毎の月」のなぞを実験で解いてほしいとの依頼には刺激を受け、やる気になりました。「田毎の月」については、文学や歴史の観点からはよく語られてきましたが、今回は実験という科学の視点での解明です。
 昨年6月、歌川広重の浮世絵「信濃更科田毎月鏡台山」の謎解き講演をしてくださった山岸哲さんには「歌川広重田毎の月の謎」というビデオ作品( 「東京ビデオフェスティバル 2024」入賞)があり、この中で本当に見られるのか子ども相手に実験をやっているシーンを参考に私も実験を組み立てました。見られるか見られないか予想が当たらなかった子どもたちですが、「田毎の月」の風景は、子どもたちの心の中に確かに出現したと思います。実験のセットは、用意した小道具を子どもたちに組み立ててもらい、棚田に見立てたお皿の水も「お米を作る大事な水だから」とロートを使ってペットボトルに回収しました。
 3つの謎解きをした後、最後に俳句も作ってもらいました。これも推進係のアイデアです。子どもたちはフィールドワークや勉強をした内容が反映されている(?)俳句をいくつも発表してくれました。そのうちの自選の一つの句を短冊に書いてもらい、親子教室の会場となった日本遺産センター入口の竹に飾りました。
 自選の句はそれぞれ
 「ばしょうさん 月の都で ひとりなく(瞳さん)」
 「こんにちは つきのみやこは きれいです(正行さん)」 
 瞳さんの句は松尾芭蕉が貞享5年(1688年)の中秋、さらしなの里姨捨に来て詠んだ「俤(おもかげ)や姨ひとりなく月の友」を踏まえたものです。正行さんの句は、「こんにちは」というあいさつの言葉から始まる意表を突く作品です。保護者のお母さんが知り合いの句だと言って披露してくれた句も、夏休みの世相がよくわかるので、短冊に書いてもらい飾りました。「夏のママ おこってばかりの おにのママ(あいさん)」です。
 俳句は短冊に書いてもらい、日本遺産センターの入口に飾ったらというアイデアは、同センターの女性スタッフのもので、この日に間に合うように竹を用意してくれました。ありがとうございました。
 今回の親子教室の内容のもとになった「The MOON CITY」は、もともと千曲市日本遺産推進協議会からの委託で、さらしなルネサンスの研究と活動の成果を盛り込み、小学生中高学年から読めるようにと作ったものです。同協議会とのコラボレーションがまた一つ実りました。

★この日の様子は、ケーブルネット千曲で、8月15日(土)午前9時から放送予定です。

 

★山岸哲さんのビデオ作品「歌川広重田毎の月の謎」は、YouTubeにてご覧いただけます。
[https://www.youtube.com/watch?v=xkjrV6VbhZM]
★「The MOON CITY」は以下のページからダウンロードできます。
[https://tsukino-miyako.jp/guide/]

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